しあわせおばけ
朝食を食べ終わると、明日香はごちそうさまも言わずに洗面所に消えた。
テーブルの食器も片付けず、俺はそれを当たり前のように洗った。
「はぁ~…」
女の子は難しい。
いや、たとえ明日香が男の子だったとしても、結局は同じかも。
父親はいつだって、母親には勝てないのだから。
洗い物を済ませたら、俺ももたもたしてはいられない。
自分の出勤準備をするために2階へ急ぐ。
部屋のドアを開ける前に、隣の部屋の中に向かって、
「明日香、弁当テーブルに置いてあるから、忘れるなよ!」
と声をかけたが、返事はなかった。