しあわせおばけ
ガラッと戸を開けた相沢が、部屋を一瞥して固まった。
俺はこの状況を相沢がどうするか想像もつかず、ぎゅっと目を閉じて、相沢の反応を待った。
すると…―
「おまえ、そんなとこ座って何してんの」
相沢が何事もなかったように入ってきた。
「あ…!あ、あれ?…え…」
「布団、すげぇ乱れてんじゃん。暴れたの?大丈夫かよ。…おい、三国…?」
相沢は、俺が妻にかけようとした布団を手に取って心配そうに言った。
でも俺は、返事どころか何も言葉を発することができず、ただ目を丸くした。
だって、さっきまで隣にいた妻が、
「…紗希…?」
いなくなっていたから。