愛してるなんて言わないで


ちょうどいいタイミングで
電車がやってきた。


「ほら、乗るんでしょ?」


早くー。と先に乗り込む。

洸くんと行く最初で最後の水族館。


動き出して欲しくないと願うあたしの
思いは届かず、するするとホームを
出発した。


「わー、人多いなー。」

土曜日ということもあり、電車は
程よく混んでいた。


『あ、あいとる席ある。華穂座り?』



「いいよー。洸くんが座り?」


『遠慮せずに座っとけ。眠かったら
寝とけ。起こしたるから。』


いつも、そんなこと言わないのに。

調子狂っちゃうっつーの。


< 102 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop