愛してるなんて言わないで
ちょうどいいタイミングで
電車がやってきた。
「ほら、乗るんでしょ?」
早くー。と先に乗り込む。
洸くんと行く最初で最後の水族館。
動き出して欲しくないと願うあたしの
思いは届かず、するするとホームを
出発した。
「わー、人多いなー。」
土曜日ということもあり、電車は
程よく混んでいた。
『あ、あいとる席ある。華穂座り?』
「いいよー。洸くんが座り?」
『遠慮せずに座っとけ。眠かったら
寝とけ。起こしたるから。』
いつも、そんなこと言わないのに。
調子狂っちゃうっつーの。