愛してるなんて言わないで
それならいいんだけどな?と
ご機嫌な洸くん。
いつもこんなに機嫌よくないのに。
なんで?訳分かんない。
『あ、もう少しで着くよ?』
立ち上がって扉の前にスタンバイ。
その瞬間、グラッと電車が揺れて
高めのヒール履いてるあたしは
倒れそうになった。
『華穂危ないっつーの。』
咄嗟に腕を引いてあたしを受け止めた
洸くん。え、何?こんなオプション
あたし聞いてない。
てゆーか、恥ずかしい。
洸くんの腕の中にすっぽりと
閉じ込められて。
電車でいちゃついてるカップルじゃん。
「大丈夫だから‼︎…って、きゃっ‼︎」
離れた途端また揺れてバランスを崩す。
『ほら、おとなしくもたれとけ?』
このまま離れてもまたバランス崩すんだろうな…。そう判断したあたしは、洸くんにもたれてみた。