愛してるなんて言わないで



『わ、素直な華穂可愛い。』


その言葉はあたしの頬を真っ赤に染めるには充分過ぎる。

あたしは林檎の様に真っ赤になっていた。

「煩いなー。洸くんの馬鹿。」


いちゃついている間に下車する駅に
到着。あたしを抱きしめてた腕を緩め、
右手をとる。


『行きますよ?お姫様?』


「ふぇっ⁈あたしそんなキャラじゃないよ?洸くん。」


『今日はワンピースだからね?
お姫様だよ。』


訳わかんないけれど、嬉しかった。


「そう?じゃあ案内して頂戴。」


それじゃ女王だよ。と笑う洸くんに
あたしは別れを告げるの?

こんなに優しいのに。


いや、今日だけの優しさ。

別れなきゃダメなの。

泣いちゃダメだ。


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