愛してるなんて言わないで
それからしばらくテクテク。
ヒールを履いてるから普段よりも
洸くんとの距離が近い気がする。
同じ目線もたまにはいいなーって
隣を歩く洸くんを盗み見してみる。
『なに?さっきからジロジロ見て。』
あ、バレてた。気付いてないかと
思ってたんだけどな。
「ん?あのねー、同じ目線もたまには
いいかなーって思ったの。」
洸くんが素直な方が可愛いって
言ったから、今日くらい素直になろう。
『ばっ…。なんで今言うかなー。』
調子狂う、華穂のくせに生意気。
それだけ言うとあたしの手を引っ張って
足早に水族館への道のりを進む。