愛してるなんて言わないで



それからしばらくテクテク。

ヒールを履いてるから普段よりも
洸くんとの距離が近い気がする。


同じ目線もたまにはいいなーって
隣を歩く洸くんを盗み見してみる。


『なに?さっきからジロジロ見て。』


あ、バレてた。気付いてないかと
思ってたんだけどな。


「ん?あのねー、同じ目線もたまには
いいかなーって思ったの。」


洸くんが素直な方が可愛いって
言ったから、今日くらい素直になろう。



『ばっ…。なんで今言うかなー。』


調子狂う、華穂のくせに生意気。


それだけ言うとあたしの手を引っ張って
足早に水族館への道のりを進む。


< 107 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop