愛してるなんて言わないで



「まだー?」


『もう少し。』


そんなやり取りをして5分。

やっと目的地に到着した。




中に入ってみると人だらけ。

多いなー。カップルとか、親子とか。

どのカップルも幸せそう。

あたしくらいかな?

別れたいって思ってるのは。


『…ほ?華穂?』


あ、またトリップしてた。

いけない、いけない。


「あ、ごめん。」

小さい子が可愛くて見とれてた。


咄嗟に嘘をつく。

思ってたことがバレたらあたしの
大好きな水族館で喧嘩になる。


ここでネタバラシしちゃだめなんだ。


『そう?俺は子供より華穂の方が
可愛いと思うけど?』


じゃあ、行くか。


不意打ちが多いな、今日の洸くん。


「ねえ、変なもの食べた?」


『は?お前失礼すぎ。
思ったこと言ってやってんのに。』


可愛くねえな、ほんとに。


その言葉に傷つく。

照れ隠しかもしれないけれど
好き…だった人に可愛くないだなんて。

どうして女の子の気持ちが分からないの?洸くん…。


『もう出るかー?それで何処いく?』


一通り回って見るものが無くなった。

これからどうしようかな…。



「2人になれる所行きたい。」



カラオケでも、何処でも。

でも、それは言わない。

洸くんの気持ちを知るために。


『じゃあ…ホテル?』


あぁやっぱりな。あたしは彼女じゃなくて性欲処理の道具なんだ。


「ん、いいよ。行こう。」


そこで、全部終わらせてやる。

あたしは性欲処理の道具なんかじゃないんだから。


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