愛してるなんて言わないで


髪が長かったから、思ってたより時間がかかったけれど。

イメチェンは成功した。


「華穂ちゃん大人っぽくなったねー。」



今のあたしには褒め言葉。

もっとちょうだい、その言葉。


「んー…彼氏と別れちゃって。今、振り向かせよう作戦決行中なんですよー。」


泣きそうになったけど。

なくもんか。




「え、そうなの?話聞いてる限りだとお似合いだと思ったのにー!」


その言葉にチクリ。と胸が痛くなる。


「あはは。あたしの頑張りが足らなかったんですよー。」

笑顔を貼り付けてにこやかに答える。


悪く言えばいいのに。洸くんが他の女の子にフラフラしたから別れたのに。

なぜか悪く言えない。
好きだからかな、庇う言い方になる。


庇いたくなんかないのに。


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