愛してるなんて言わないで


足がスースーするけど。

お気に入りのヒールに足を滑らせ
いつもと違うあたしが出来た。


「あら。今日デート?」


「うん。今日が最後のデート。」


「そう。楽しんでおいで?」


そう微笑む寝起きのお母さん。

用意してる時に起こしたみたい。


それでも、怒ることなく送り出して
くれた。その微笑みがあたしに
勇気をくれる。


「うん。行ってきます。」


行ってらっしゃい。を背にあたしは
駅へと向かう。

その間、あたしは洸くんとの
思い出に浸ってみた。


最初は、かっこいいと思ってたのに
どんどん束縛が激しくなって。


あたしの意見なんて聞いてくれなくて。


自分の意見が通らなかったら
イライラして。


そんな年上だけど、お子様な洸くんが
好きだった。


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