愛してるなんて言わないで


乗り換えを3回してようやく
三宮に到着した。


改札を抜けて、洸くんを探す。

メガネかけてないからボヤけて
見えるんだけど、それでも
目を凝らして探す。


あ、いた。

声をかける訳でもなく、ただ静かに
近寄っていく。


気づくかな?


「…。」


隣まで行ったのに、あたしを探してる
洸くんに笑えた。

「洸くん、おはよ。」


『ん?あ、華穂か。おはよ。
誰かと思ったんだ。』


じゃあ、行くか?と前を歩く洸くん。

あたしの格好を見ても何も思わないの?

いつもは着ないワンピースだよ?

「ん、行こっか。」


『なんで、今日珍しい服着てんの?』


珍しいというような感じ。


「変…かな?」


お母さんや友達には変じゃないって
言ってくれたんだけど。



『いいんじゃない?』




それだけ言うと、あたしの先を歩く。




< 99 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop