愛してるなんて言わないで
乗り換えを3回してようやく
三宮に到着した。
改札を抜けて、洸くんを探す。
メガネかけてないからボヤけて
見えるんだけど、それでも
目を凝らして探す。
あ、いた。
声をかける訳でもなく、ただ静かに
近寄っていく。
気づくかな?
「…。」
隣まで行ったのに、あたしを探してる
洸くんに笑えた。
「洸くん、おはよ。」
『ん?あ、華穂か。おはよ。
誰かと思ったんだ。』
じゃあ、行くか?と前を歩く洸くん。
あたしの格好を見ても何も思わないの?
いつもは着ないワンピースだよ?
「ん、行こっか。」
『なんで、今日珍しい服着てんの?』
珍しいというような感じ。
「変…かな?」
お母さんや友達には変じゃないって
言ってくれたんだけど。
『いいんじゃない?』
それだけ言うと、あたしの先を歩く。