密フェチ†色悪
泣きボクロを持つ男
何度
彼は私を傷つければ気が済むんだろう。
薔薇の棘のように私を刺したのは、
彼のベッドの中に潜む、ルビーのピアス。
見知らぬ女からのメッセージ。
「もぉ、やだ…」
「じゃ…、別れる?」
しどけない姿でソファーに寝そべり、彼は私を見上げる。
少し乱れた、艶やかな黒髪。
男だというのに『美貌』や『妖艶』という言葉が似合う人。
瞼にかかる前髪をうるさそうに額へ梳き、彼は気だるげにゆっくり体を起こす。
「辛いなら、俺から手を引けよ」
それができるなら…もっと早くにそうしてる。
「それでお前が幸せになれるなら、俺は引き止めないから」
オニキスのような目の下の、小さな泣きボクロは伏せた睫の翳に隠れる。
ズルい男---
私に『選択権』を委ねるけど、本当は何一つ譲る気なんてないくせに。
「…っ、別れ、ない」
私は知っている。
殊勝げに俯いた彼が、陰で歪んだ微笑みを浮かべていることを。
彼の腕が伸びてきて、私の腕を掴む。
「ベッドに行って。服を脱いで」
彼は私を傷つければ気が済むんだろう。
薔薇の棘のように私を刺したのは、
彼のベッドの中に潜む、ルビーのピアス。
見知らぬ女からのメッセージ。
「もぉ、やだ…」
「じゃ…、別れる?」
しどけない姿でソファーに寝そべり、彼は私を見上げる。
少し乱れた、艶やかな黒髪。
男だというのに『美貌』や『妖艶』という言葉が似合う人。
瞼にかかる前髪をうるさそうに額へ梳き、彼は気だるげにゆっくり体を起こす。
「辛いなら、俺から手を引けよ」
それができるなら…もっと早くにそうしてる。
「それでお前が幸せになれるなら、俺は引き止めないから」
オニキスのような目の下の、小さな泣きボクロは伏せた睫の翳に隠れる。
ズルい男---
私に『選択権』を委ねるけど、本当は何一つ譲る気なんてないくせに。
「…っ、別れ、ない」
私は知っている。
殊勝げに俯いた彼が、陰で歪んだ微笑みを浮かべていることを。
彼の腕が伸びてきて、私の腕を掴む。
「ベッドに行って。服を脱いで」
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