あの場面はどこに
彼から渡された本を手に取り、私は涙を流した。
「良かったね。おめでとう」
「ありがとう」
「読むの、すごくドキドキする」
「俺も君に読んでもらうのは、緊張するよ。できれば、俺のいない時に読んでくれないか」
きっと、読んでいる私の表情を見たくないのだろう。私が読んでいる間、落ち着かないのかもしれない。
「うん、わかった」私は、そう返事をした。
実のところ、私も一人で読みたかった。大切な彼の本だということもあるけど、私も自分の表情を見られるのが少し嫌だったからだ。あの場面がでてくるかもしれないのだ。
本が全国に発売されてから、彼は多忙の毎日だった。雑誌の取材なんかが入っているらしい。
彼が遠くに行っちゃったらどうしよう。私なんか、ちっぽけな女だから。たまに、寂しくなった。
「良かったね。おめでとう」
「ありがとう」
「読むの、すごくドキドキする」
「俺も君に読んでもらうのは、緊張するよ。できれば、俺のいない時に読んでくれないか」
きっと、読んでいる私の表情を見たくないのだろう。私が読んでいる間、落ち着かないのかもしれない。
「うん、わかった」私は、そう返事をした。
実のところ、私も一人で読みたかった。大切な彼の本だということもあるけど、私も自分の表情を見られるのが少し嫌だったからだ。あの場面がでてくるかもしれないのだ。
本が全国に発売されてから、彼は多忙の毎日だった。雑誌の取材なんかが入っているらしい。
彼が遠くに行っちゃったらどうしよう。私なんか、ちっぽけな女だから。たまに、寂しくなった。