恋の彗星―僕が彼女と結婚した理由―
プロローグ
世間はどこもその話題で持ち切りだった。

『人気モデル・押切円(24)が結婚!』

『お相手は「五十嵐宝石店」の店員(34)!』

テレビ、新聞、週刊誌は大騒ぎ。

「彼と結婚することになったきっかけは!?」

「彼の印象は!?」

「子供の予定は!?」

テレビの中の彼女は取材陣からの質問攻めに屈することなく、丁寧に答えていた。

そんな彼女を見ながら、僕はサンドイッチをかじる。

左手の薬指に光るリング。

僕と彼女が2人でデザインしたオリジナルのリング。

彼女も取材陣にそのリングを見せていた。
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