恋の彗星―僕が彼女と結婚した理由―
まるで僕を責めるかのように。

「いや…その…」

確かに、事実ではある。

円と中華料理屋に食事に行ったのは、本当のことだ。

「何とか言ってください!

朝っぱらからマスコミからの電話で、みんな散々なんです!」

何も返せない僕に、彼女はさらに強い口調で尋ねた。

それよりも、円はどうした?

僕は円が心配だった。

こんなスキャンダルを報じられて、円や彼女の事務所は黙っていないだろう。

「主任、押切円が今から記者会見をするそうです!」

受話器片手に女子社員が言った。
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