終わらない恋になれ
「改めまして透子様、私は殿下の側近で日向と申します。…単刀直入に申し上げますが、殿下にかけられた呪いは透子様以外とける者がおりません。お願いいたします、ここに殿下を置いていただけますでしょうか?」
穏やかな口調ながら、その頼みごとは切実なものなんだと感じた私は日向さんに何も言えず、頭を下げる日向さんのズボンの裾を掴んでいる常陸に視線をやる。
私は何も言わないでじっと見つめてくる常陸から視線を逸らし、こう返してやった。
「…それを日向さんから頼むのは筋違いじゃないですか?」
―――王子だろうがなんだろうが、自分のことを自分でやれない人の面倒なんか見るもんか。しかもヴァンパイアなんて、私自身どうされるかなんてわかったもんじゃない。
巻き込むなら筋を通せ、と言わんばかりの私の態度に常陸はものすごく苦々しい表情になりながらも口を開く。
「………透子、頼む」
その言葉に、私は頷いて答えてみせるのだった。