終わらない恋になれ





―――季節は、夏。


常陸がやってきたのは春の終わり頃で。いつの間にか蝉の声がうるさくなって、蒸し暑くて寝苦しさを感じる夜もあった。


そうして、私は。
帰ってこない常陸を待つことを、だんだん諦めかけていた。


首筋の傷は薄くはなったけど、完全に消えてはくれなくて。
常陸に対する気持ちと一緒で、簡単にはなくならないんだと思って。


それでもたまに、涙が止まらない夜があった。










「………終わったぁ…!」


前期末試験の終了を告げるベルの音と同時に、私は机に突っ伏す。
この試験終了をもって長い長い夏休みがやってきたのだ。





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