終わらない恋になれ
「―――俺の主はね、常陸殿下が嫌いなんだ。殿下さえいなければ俺の主が次の王になれる。主の奥様はヴァンパイアだし、人間なんかを嫁にしなきゃならない殿下より相応しいはずさ」
当たり前のようにそう語る暁に、止まりかけた思考回路がはじき出した答えが一つ。
「………あ、きらも、…ヴァン、パイ、ア…?」
必死にそう訊ねれば、暁は横に緩く首を振って。
「俺は違うけど、主に拾ってもらって名前までいただいたから主の味方。―――俺の本当の名前は“安芸(あき)”」
そう言った次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
まぶたに触れるのは安芸の掌。その冷たい肌の感触に背筋が凍る。
鱗みたいだ、なんて。
………そう思ったのを最後に、わたしの思考はぷつりと途切れた。