終わらない恋になれ
あれ以来、俺は血を啜ることはしていなかった。
身体の調子がそれほど悪くないということもあったけどなにより。
なにより、今他の血を啜ったら透子の味が薄れてしまう。
花の蜜のように甘くて濃い、透子の血。この味を忘れてしまうくらいならこのまま血を啜ることなく、朽ち果ててしまっても。
…それでもいいと。
そのくらい、俺は透子に恋い焦がれていた。
「―――透子…」
日向のいなくなった執務室でひとり、俺はシュシュを手にとってそう囁いて。
慈しむように柔らかく。
そっと、唇を落とした。