終わらない恋になれ
そこから先はあまり記憶がない。
俺は若狭殿の背後に回り、片手で喉を締め上げる。
不測の事態だったのだろう。一瞬の隙が出来た若狭殿は俺が、あの白蛇は日向が仕留めた。
「…透子!」
その場にしゃがみ込んで浅い呼吸を繰り返す透子に声をかけても返事がない。
首筋にしっかりと残る牙の痕からは、未だ血が流れ出していて。
(…まずいな)
どうやら毒の中には血が止まらなくなる作用のものも含まれていたらしい。
このままじゃ透子は失血ししてしまう。
―――ごめん、透子。
ぎゅっと目をつぶり、俺はその傷口に唇を当てた。
ぴくりと反応する透子の、そのわずかな仕草ですら今の俺には毒のように甘い。
気づけば俺はただひたすらその傷跡にキスを繰り返していた。