終わらない恋になれ





「ひ、たち」


当たり前のように俺を呼ぶ声。



「俺がわかるな?」


そう問えば、こくりと頷いて。



「………さっき、噛みついたのは、常陸じゃ、ないよね?」


「…あぁ」


「やっぱ、り。…違うって、わかっ、た、の」



へへっと、力なく笑いながらそう言う透子になぜか泣きたくなった。
抱きしめる腕に力を込めて、朦朧とする透子の瞳を見れば、泣いていた。



「会いたかった。常陸に、会いたかった。…だって、私――…」






そう言い残して意識を失った透子に、俺の胸の奥がざわめく。


それでもまだ、ためらう気持ちが俺の心を縛り付けていた。





< 127 / 206 >

この作品をシェア

pagetop