終わらない恋になれ
「ひ、たち」
当たり前のように俺を呼ぶ声。
「俺がわかるな?」
そう問えば、こくりと頷いて。
「………さっき、噛みついたのは、常陸じゃ、ないよね?」
「…あぁ」
「やっぱ、り。…違うって、わかっ、た、の」
へへっと、力なく笑いながらそう言う透子になぜか泣きたくなった。
抱きしめる腕に力を込めて、朦朧とする透子の瞳を見れば、泣いていた。
「会いたかった。常陸に、会いたかった。…だって、私――…」
そう言い残して意識を失った透子に、俺の胸の奥がざわめく。
それでもまだ、ためらう気持ちが俺の心を縛り付けていた。