終わらない恋になれ
11th 愛を唄おう
―――パタンと、静かにドアの閉まる音がした。
振り向けば日向さんの姿がなく、テーブルに乗せられていたグラスも片づけられている。
(………ぅ…!)
そのとき、急に振り返ったからか不意に目の前がちかちかとして、私の身体はバランスを失いそうになる。
「透子!…解毒もまだだったのか」
そう言うと常陸は私をひょいと横抱きにして歩き出した。
「ひ、たち!ちょ、降ろして…」
「うるさい。黙ってしがみついてろ」
一瞬立ち止まったかと思うとちらりと私を見下ろした常陸だったけど、次の瞬間にはまっすぐ前を向いてまた歩き出す。
部屋を出て、目的の場所に到着するまでずっとそうやって抱き上げられたままで、いかにも少女漫画的なシチュエーションに私の心拍数は上がりきってしまっていた。