終わらない恋になれ
淡い白色の光と違い、今夜の月は赤みがかった光を放っている。
いつもならそんなに気にならないのに、今夜に限ってはなぜか気になってしまって。
私は鍵を外した自転車にまたがることもしないでその輝きを眺めていた。
―――と、そのとき。
月のちょうど真ん中あたりに小さな黒の斑点ができたかと思うとそれはだんだん大きくなっていく。
…いや、違う。
私に近づいて――…?
(うわっ!?)
そんなことをぼんやりと考えていた次の瞬間、自転車のかごがガシャリと音を立てて衝撃を受ける。
思わず閉じた瞳を開くと、そこには。
…身長15センチばかりの小人がいた。