終わらない恋になれ
「伴侶とは形だけであってもかまわない。俺の両親もそうだった。子を孕んでからも貴様は物言わぬ人形として、ただ俺の隣に座っていればそれで十分。………愛などと、くだらない幻想を抱く暇などない」
常陸は一気にそこまで言い切り、おもむろに顔を近づけてきた。
そうして、あと少し身動きをとれば唇が触れてしまうほどの距離で止まるとわずかに口角を上げる。
「―――まぁ、貴様ほど美しい人間もそういない。俺にも形だけの愛をくれてやるくらいの情けはあるぞ?」
次の瞬間、常陸の唇が私に触れた。
逃げたくともしっかり顎を押さえつけられていて逃げられない。
押しつけられた唇の、言葉とは裏腹の熱さを感じた私は目をぎゅっとつぶる。
…鼻の奥がツンとして、涙が溢れる予感がしたからだ。