終わらない恋になれ
「―――――常陸!」
確信めいた気持ちからこちらに背を向けているその人影に向かってそう叫ぶと、その長い髪を揺らしながらこちらを振り返った。
「…貴様」
それだけつぶやいて、常陸は私から視線を逸らす。
私はたまらず彼のそばに駆け寄ろうとしたが、再び開かれた彼の口から出る言葉に足が止まってしまった。
「なぜ追ってきた」
怒っているような、苛ついているような声の調子だった。
漆黒に溶け込んでしまいそうな空気を纏った常陸の言葉に、私はさっきまでとは違う“ブレ”のようなものを感じて。
「だって常陸、急に出てったじゃない」
そう答えると、常陸はゆっくりと私に視線を向けた。