終わらない恋になれ





…絶対零度ってこういうことか、と実感できるような空気を纏いながら常陸は続けた。



「俺はあの女を待ってたんだ。貴様等になどひとかけらほどの興味もない、勝手にどこへでも行くんだな」




次の瞬間、常陸は自分の周りを囲む女の子たちの手を払い私に近づいてきた。
そのまま私の腰に腕を回し耳元に唇を寄せたかと思うと、『しばらく我慢しろ』とだけ囁いて。



「文句があるなら鏡を見てからにするんだな。………そして、俺に二度と話しかけるな」


そう吐き捨てると、常陸は私の腰を抱いたまま歩き出す。
ちらりと見えた女の子たちはまさに顔面蒼白、真っ青になって呆然としていて。




………この威圧感がヴァンパイア由来のものだとしたら、はっきり言ってあの子たちには酷だと思った。
少しだけ慣れてるとはいえ、私だって少し怖いと思っているんだから。





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