終わらない恋になれ
「夢、だ」
そうつぶやいていつの間にか寝転がっていたベッドから起きあがれば、ようやく夢と現実の区別が鮮明になってきた。
…なんて夢を見たんだろう。
そう思ってため息をついて、私はまだ震えるように上下する自分の胸元を見つめる。
―――この一ヶ月で、常陸はこの世界によくなじんできた。
だから、常陸はヴァンパイアなんかじゃなくてただの人間なんじゃないかって思い始めている自分がいて。
…そうすれば、こんな夢を見ることもなく常陸と一緒にいられるでしょう?
「って、何考えてんの…」
ふと芽生えた考えを打ち消すよう私は頭を振って視線を窓の外に向けて、そこでようやく雨が降り始めていることに気づいた。