終わらない恋になれ
「………わかった。ちょっと待ってて」
常陸の返事を聞くことなく私は洗面台に走り、ドライヤーを手に戻る。そしてコンセントを差し込み常陸の背後に回ると、スイッチを入れた。
「…!透、子…」
「いいからじっとしてな。濡れたままじゃ寝かせられないよ」
「…と、………こ…」
最初は抵抗する素振りを見せた常陸だったけど、次第に身体の力が抜けていって。
何にも言わなくなったその身体は風呂上がりということを差し引いても少し熱い気がした。
「―――よし、終わり!」
数分後、すっかり乾いた艶やかな黒髪を私が指で梳く頃には常陸は私に寄りかかるように座っていて、ただ小さく頷く。