午前0時、夜空の下で
プロローグ




真っ暗な闇にぽっかりと白銀の月が浮かぶ、夜。

人間はとうに眠りにつき、車も通らない静かな夜だった。

立ち並ぶ家々の明かりは消え、外灯がぼんやりと人気のない道を照らす中、彼らは主を探して這い回る。

何一つ見落とすことなどないようにと血走った目を光らせ、微かな音さえも聞き逃さないようにと尖った耳を澄まし、邪魔なものはすべて――消しながら。

主が消えてから、何度月が昇り、そして沈んだであろうか。

彼らは己の世界だけには留まらず、世界に生まれた歪みから異世界にまで飛んだものの、主が見つかる気配は一向にない。

彼らは、絶望した。

もう二度と、敬愛する主と相見える日は来ないのか、と。

しかし。

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