午前0時、夜空の下で
近い将来、絶世の美女に成長するであろう少女は、そんな心に構わず無邪気に笑っている。

「アタシ、ミスティア。神水を汲みに久遠の森に行ったら、アンタが倒れててさ。慌ててここに連れてきたんよ。どうもワケありみたいやし」

そう言ってにっこり笑った少女――ミスティアは、無残に破れ、既にボロ布と化しているドレスを指差した。

心は己の惨状に気づき顔を赤く染めるが、ドレスから伸びる足に目を疑った。

「傷が、ない……?」

腕も、足も。

全身が切り傷だらけになったはずなのに、肌はまったくの無傷だったのだ。

働き慣れていない細い手足が、綺麗なままそこにあった。

「もしかして、久遠の森で雨を浴びたんやない? あの森の雨、治癒力があるらしいけん……って、ちょっと待ちぃ。アンタ……まさかあの森の奥に入ったん!?」

ミスティアの驚愕の表情に首を傾げつつ、心は頷く。

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