午前0時、夜空の下で
「あー、もう。考えるん疲れたわ。きっと運が良かったんやね。……えーっと、」

ミスティアが口をパクパクと動かすのを見て、心はまだ自分が名乗っていないことに気づいた。

「あ、私は…ここ……、……」

本名で名乗るべきだろうか。

しかし、もしミスティアがカザリナと何らかの繋がりがあった場合、心のことがカザリナに知られるかもしれない。

見つかれば今度こそ殺されるだろう。

何か偽名を考えようとしたが――遅かった。

「ココって言うん? じゃあ、改めてよろしく、ココ」

そう、笑顔で言って退けたミスティアに今更偽名で名乗ることもできず、心は曖昧に笑った。

「あのさココ、訳アリなら……もしかして家に帰れへんかったりする?」

その言葉に、びくりと肩が跳ねた。

素直に反応してしまった自分に嫌気がさす。

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