午前0時、夜空の下で



「心は見つかったか?」

妃月の言葉に、アルジェンはゴクリと唾を飲み込んだ。

目の前で悠然とソファーに腰を掛けている男は、笑みを浮かべているものの、その瞳は少しも笑ってなどいなかった。

否、彼は確実に怒っている。

向けられる視線の鋭さに、身体の震えが止まらない。

「分かっているとは思うが、今回の件についての責任はすべてお前にある。万が一、見つからなかった場合は……一族全員で責任を取れ」

一族全員で責任を取る――つまりは、死をもって贖う。

心が見つからなければ一族郎党を皆殺しにする、と。

凄絶な笑みを浮かべて王は言い放った。

謝罪の言葉すら、出せない。

今回のことは、確かにアルジェンの責任だった。

< 107 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop