午前0時、夜空の下で
「他の世界はどうだ?どこか違う世界にいるのでは……」

「それはありえません! 人間であるココロ様を、元の世界に戻すならともかく、異世界へ移すとなると、相当の魔力が必要です。それほどの魔力が陛下以外の者の手で動いたならば、私たちが気づかないはずがありません」

彼らは一様に溜息を落とし、考え込んだ。

すでに主要八大国に手紙を出し、心の特徴を伝えて探させてはいるものの、見つかるのは心に変装して魔王に取り入ろうとする、姫君や貴族の令嬢ばかりだった。

「もしかしたら、もう……」

ポツリと呟いたクロスリードを、シリアは睨みつけた。

「あのココロ様が、そう容易くお亡くなりになるとは思えません。この城にいらっしゃる間、私はずっとお側で拝見させていただきました。あの方こそ、王妃に相応しい方です」
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