午前0時、夜空の下で
微かに潤んだ瞳を見て、二人は目を瞠る。

「珍しいな。あなたがそんな顔をするなんて。……そうだ、夜会の日も。陛下に動くなと言われて動揺する姿に、私たちの方が驚いたものです」

アルジェンの言葉に、シリアは眉をひそめた。

「あなた方には関係のないことです。とにかく、一刻も早くココロ様を見つけなければ。陛下の怒りを収めるには、ココロ様をお連れするほかありません」

確かに、とクロスリードは頷いた。

その表情は深刻である。

今回の件に激怒した妃月は、執務をすべて放棄したのだ。

これだけなら、まだなんとかなっただろう。

事実、妃月が捕われていた間、彼らだけで国を動かしてきたのだ。
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