午前0時、夜空の下で
「それは、人でない者の仕業だろう。おそらくは……私を求める異形のモノ」

心は目を瞠ったまま、小刻みに震え始めた。

彼は一体何の話をしているのか。

頭の中で有り得ない話だと否定するものの、気持ちが簡単には追いつかない。

「怒り狂い、人間を惨殺しているようだな。主人である私を、このような場所に閉じ込めたのは人間共だ、と。さて、お前はどうする。このまま私が地上に出ても、彼らは蔓延る人間を皆殺しにせねば満足しないであろう。世界中の人間を……そう、お前の親や、友人さえも」

最後の一言に一際大きく反応した心を見て、男は口角を上げた。

残酷なまでに美しい笑みだ。

「私は彼らを止める気など毛頭ない――が。そうだな……お前が、私の玩具になるというならば、考えてやっても良いだろう」

男の言葉に、心は眉根を寄せた。

なぜ男がそのようなことを言い出すのか、理解ができなかったからだ。

心を手に入れたところで、男に何の利益があるだろうか。
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