午前0時、夜空の下で
しかし美女はふと、首を傾げた。

「あの子が、へーかの……」

ポツンと呟かれた声に、アッシュが目を見開く。

「見てたのか、」

うんと頷き、しばらく黙り込むと、突然立ち上がった。

「私、ちょっと行ってくるわ。あの子、なーんか心配だし」

そして再びアッシュを抱き締め、思う存分頬を擦り寄せると、すっくと立ち上がった。

「いってきまーすっ!!」

意気揚揚と手を振り、森の外へと駆け出す。

後に残るは、白銀の狼と深い沈黙。

「何も起こらなければ良いが……」

呆れを含んだ声と溜息が、沈黙へと消えていった。






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