午前0時、夜空の下で
昨夜の出来事は、心が不正な存在だとみなされたために起こったのだ。

彼らであれば、心を人間だと見抜くことも容易いはずである。

王がそれをどう思ったかは、雲に飲み込まれてゆく太陽を見れば一目瞭然だった。

キシナは再び溜息をつくと、心が目を覚まさないうちに、影の中へと姿を消した。



泣き声が聞こえる。

白く濁った脳裏に、微かな声が響く。

ふわふわと意識が彷徨うのを感じながら、心は声の主を探していた。

今、自分が目を開けているのかどうかもわからない。

体が軽く、このままどこかへ飛んでいってしまいそうだ。

そんなとき、ふと黒い何かを見つけた。

小さく震える“何か”。



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