午前0時、夜空の下で
あれは誰かを呼び続けているらしい。

様、と敬称を付けるということは、目上の人――否、何かだろうか。

さらに、神経を研ぎ澄ませようとして。

『……こ、』

『……ここ…』

『……ココ、』



「ココ!」

ハッと目を見開く。

気付けば、もうすっかり見慣れた黎明館の天井と……ミスティアの、顔。

「生きとる。……よかったぁ!」

ホッとしたように顔を和らげるミスティアを見つめながら、心はゆっくりと起き上がった。

先程までの、真っ白な世界はもう見えない。

夢だったのだろうか。

黒い“何か”のことが、なんだか気に掛かる。

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