午前0時、夜空の下で
「あ、待って!」

ノーラの声が聞こえたような気もしたが、後で謝ることにして先を急ぐ。

すり抜けたすぐ先に、アシャンたちが集まっている様子が目に入った。

どうやら、みんな窓の外に注目しているようだ。

よほど集中しているのか、誰も心たちに気づかない。

心とミスティアは、彼女たちにそっと近づくと、同じように窓の外へと目を向けた。

「レイン……?」

ポツリと、ミスティアの口から零れ落ちた、か細い声。

ようやく心たちの存在に気づいたアシャンたちが、立ち上がって視界を妨げようとしたが、脳裏には窓の外の景色が焼き付いていた。

そこにいたのは、二人の男女。

目を見張るほどの美貌を持った妖艶な美女と……カルヴァローネ伯爵。

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