午前0時、夜空の下で
心が説明を求めるようにアシャンに目を向ければ、難しい表情が返ってきた。

「私たちも、よく知らないのよ。ただ、店の準備をしようとしたら、二人が外で話しているのが目に止まって……」

その様子があまりにも親しそうだったため、こっそり覗いてしまっていたらしい。

カルヴァローネ伯爵と言えば、丁寧だがどこか他人と一線を引いたようなところがある。

彼が想いのこもった優しい笑みを浮かべるのはただ一人、ミスティアだけ。

そう、思っていたのに。

ようやく、先程のノーラの行動が理解できた。

そっとミスティアを窺えば、無表情で窓の方を見つめている。

アシャンの身体で見えないにもかかわらず、その瞳はひたと前を見据えたまま動かない。

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