午前0時、夜空の下で
第2話
サラリと、衣擦れの音がした。
心は微睡みのなか、微かに目を開く。
肌触りのよい布が、心をさらなる深い眠りへ誘い込もうとしたが、何とか起き上がって頭を振った。
肩まである長い髪が、寝癖によってひょこひょことはねているのを手櫛で整えつつ、恐る恐る周りを見渡す。
寝台から遮光の布に至るまで、一見簡易なようでいて、よくよく見るとかなり綿密な装飾が施された部屋である。
「私、これからどうなるんだろう……」
思わず零れてしまった言葉に、気持ちが落ち込む。
心の記憶が正しければ、あの地下牢の男とともにいたのが最後の記憶だ。