午前0時、夜空の下で
第11話
――琅(ロウ)。
あるいは商人の国と呼ばれ、八大国のうちの一つに数えられる国。
宝石の産出国として名高く、裕福な者が多い所為か、派手好きな国民性も広く知られている。
しかし、貧富の格差は甚だしく、未だ奴隷制度に囚われ、皇帝を擁しながらも議会の権力が肥大化しているのが現状である。
貧民層の国民は皇族に不信感を抱き、その国勢は未だ不安定で――……
資料に目を通していた妃月は、興味が失せた様子で顔を上げた。
明るい日差しが顔を照らし、不快げに眉根を寄せる。
しばらく経たないうちに雲が現れ、まるで魔王を恐れるかのように、太陽はその姿を隠した。