午前0時、夜空の下で



「……っ、」

パチリと目を開いたとき、まず見たものは暗闇だった。

「ゆ、め……?」

ドクドクと、心臓が早鐘を打つ。

――あと、少しだった。

あと少しで、黒い“何か”に捕まるところだった。

自分が固い寝台のようなものに寝転がっていることに気づき、心はゆっくりとその身を起こす。

ひどく寝汗をかいていたようで、夜の冷気が身体から熱を奪っていった。

掛けられていたらしい薄い布を纏い、慎重に周囲を見渡す。

心が寝かされていた寝台のようなものと小さな机が、狭い部屋の中に置かれているだけで、特に何もない。

「……キシナ、いる?」

そっと虚空に向かって問い掛ければ、即座にその姿を現した。
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