午前0時、夜空の下で
そもそも、心が奴隷の少女に近づいた時点で――否、ノーラたちと逸れそうになった時点で、姿を現さなければならない。

……それを止めさせたのは絶対の主、妃月からの命令。

――命の危険が無い限り、決してあれの行動を妨げるな。

この命令が、キシナの動きを躊躇わせるのだ。

魔王は心に自由を与え、結果彼女は現在、複雑な状態に置かれてしまっている。

「キシナが謝る必要なんてないよ。……むしろ、嬉しい。キシナが見守っていてくれるから、私は好きなだけ自由に動き回れるし」

考え込んでいたキシナに、心は呑気な笑みを見せた。
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