午前0時、夜空の下で
そう言って、ふと気づいたように宗一郎は顔を上げる。

「そういえば、雫たちはどうした」

宗一郎の問い掛けに、昴は俯いたまま答えた。

「翔太が心を探しに行くって飛び出して、雫がそれを追いかけてった……」

「そうか……」

再び、二人の間に沈黙が下りる。

末っ子の翔太は生意気盛りの小学生だ。

心が消えたことを未だに受け入れられず、毎日のように遅くまで探し回っている。

事件が一旦収まったからと言って、安全とは言い切れないからと、大学生の雫も付き添っていた。

警察は捜索を続けているものの、事件に巻き込まれたと思われる心の遺体は未だ見つかっていない。

なかなか進展しない捜査に、宗一郎はすでに期待することを諦めている。

佐伯はと言うと、屋敷の二階で倒れているのが見つかり、すぐに病院へと搬送された。



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