午前0時、夜空の下で
どこもかしこも煌びやかに飾られており、ミスティアは唖然としたまま盛んに城の中を見回した。

「アタシ、琅に馴染めん気がするわ……。城も魔族も宝石でキラキラしとん」

「琅は宝石の産出国として有名だから仕方ないわよ。他国に比べると、質のいい石が安く手に入るし。それに、アンタの無駄に整った顔なら、どんなに派手な服でも着こなせるでしょ。はっきり言うと、琅の国民に好かれやすい顔よ」

稀に見るミスティアの秀逸な美貌は、琅でも周囲からの視線を独占していた。

生まれ持った身分が低くとも、黎明館で働いてきた実績とその美貌、何より人懐っこいミスティアであれば、すぐに琅でも馴染むだろう。

派手好きな琅の魔族であれば、飾り甲斐のあるミスティアは歓迎されるに違いない。

< 295 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop