午前0時、夜空の下で
「伏せってるんじゃないのよ。ベランダでぼんやり物思いに耽ってるみたいで……」

「ベランダ?」

クルシェナはチラリと扉に目を向け、ノーラもようやく表情を厳しくした。

「あ、の? ベランダじゃ何か問題あるん?」

訳がわからないと言わんばかりのミスティアに、気づいたクルシェナも首を傾げる。

「あなたは……?」

「あ! ごめん、ミスティア。えーっと、クルシェナさん、この子はミスティアです。黎明館にいた時、一緒に働いてたんです。……で、あたしが黎に行くことになった原因」

ノーラが苦笑ぎみに零した最後の一言に、クルシェナの顔がパッと明るくなり、「あぁ、レイン様の!」と朗らかな笑みを見せた。
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