午前0時、夜空の下で
「ミスティア、この方はヴェルディ様の乳母のクルシェナさん。……ヴェルディ様って、幼いころから身体が弱くてね? あたしが黎に行く前は、いつも寝込んでいるような方だったの。だから寝室にいるだろうとは思ってたんだけど――物思い?」
ノーラが問い掛けるような視線を向ければ、クルシェナはスッと笑みを潜め、深刻な様子で口を開いた。
彼女もずっと見守ってきた皇女の変化に戸惑っているようだ。
「つい、ここ最近のことなのよ。ベッドに伏せって日がな一日過ごしていたヴェルディ様が、ベランダに出るようになったのは。夜は風が冷たいでしょう? お風邪を召してしまうから部屋に入ってほしいのだけど、嫌だと言って動かないの。外では何をするでもなく、遠くを見ては溜息を繰り返して……。こんなこと初めてだから、心配だわ」
ノーラが問い掛けるような視線を向ければ、クルシェナはスッと笑みを潜め、深刻な様子で口を開いた。
彼女もずっと見守ってきた皇女の変化に戸惑っているようだ。
「つい、ここ最近のことなのよ。ベッドに伏せって日がな一日過ごしていたヴェルディ様が、ベランダに出るようになったのは。夜は風が冷たいでしょう? お風邪を召してしまうから部屋に入ってほしいのだけど、嫌だと言って動かないの。外では何をするでもなく、遠くを見ては溜息を繰り返して……。こんなこと初めてだから、心配だわ」