午前0時、夜空の下で
ミスティアは口元を手で押さえたまま、探るような視線をヴェルディへと向ける。

「……ヴェルディ様、」

黙っていたクルシェナが、微かに眉をひそめて躊躇いつつも口を開いた。

「何かを悩んでいらっしゃるのですね? それは――……」

「悩みなんてありません! もう出てってください!!」

クルシェナの言葉を遮り、はっきりと拒絶を示した第五皇女に、それ以上何かを口にすることはできない。

「失礼、しました……」

小さく震える背中に頭を下げ、各々は静かに扉へと下がった。

途中、一瞬だけミスティアの足が止まるものの、ノーラは気づかずに腕を引き、三人は退室する。

「……明らかに何かありますね。以前は声を荒げるようなことはなかったですし。とても大人しい方ですもの」
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