午前0時、夜空の下で
魔力が原動力である魔界では、ほとんどの仕事を魔族たち自身の力でこなしている。

平民や奴隷など下級の魔族は、明かりを生み出す程度の魔力しか使えないが、妃月の住まう王城でも、あまり派手な魔力を目にする機会はなかった。

電気のある人間界の方が、余程楽かもしれない。

「農作業や家事ほど楽な仕事はないよ。ウィーザーに助けられたからこんな生活が送れる。……ココ、奴隷たちが毎日どんな生活を強いられているか、知ってる?」

ミルフィーユは口元を自嘲気味に歪め、心へと暗い視線を向ける。

初めて見た表情に、心は何も言えず沈黙した。

そんな心を知ってか知らずか、魔力の明かりに照らされたミルフィーユは再び口を開く。
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