午前0時、夜空の下で
「さすがに琅が商人の国と呼ばれてることは知ってるでしょ? それだけじゃなくて、地下資源も豊富なの。この国には、質の良い宝石の原石がたくさん眠ってる」

ひんやりとした夜風に吹かれ、心は思わず自身の身体を抱きしめた。

気付けば周りにいた子どもたちも、何を考えているのかわからないような瞳でこちらを見つめている。

「この国は本当に派手好きで。宝石の需要は一向に減らない。……笑っちゃうよね。危険な鉱山で原石を掘り出すのは、奴隷たちなのに。宝石を狙った盗賊に襲われることだってあるよ。でも国は、私たちのことなんかほったらかしてる」

「ミル、」

「あの危険な現場で何人も死んでるのに、貴族たちはそれが当然だと思ってる」

「……」

「奴隷の命なんて考えもしない貴族たちも、見て見ぬふりをする皇族も、赦せない」

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